女性がBLにハマるのはなぜ?感情や関係性を重視する女性の特性に理由があった
男性同士の恋愛が描かれるボーイズラブ(BL)というジャンルがあります。
最近では『おっさんずラブ』がドラマとして放送され、話題になりましたね。
この4月から男性2人の暮らしを描く「きのう何食べた?」もスタートしました。
しかし、男性や非腐女子の方からすれば、
・「何でそんなに夢中なるの?」
・「そもそもなんで男性同士なの?男女でいいじゃん!」
と素朴な疑問を持つのではないでしょうか。
またBLが好きな女性自身も、自分がなぜこんなにもBLにときめくのか説明できないという方もいると思います。
私自身BLを読みながらも、夢中になってしまう理由を説明できず、もやもやした思いを抱えていました。
あらゆるサイトをめぐり、BL作家のエッセイや考察などを読んだ結果、感情や関係性を重視する女性の特性がBL夢中になる要因であることに気づきました。
BLは女性の志向を満たすジャンルだということです。
今回は
- なぜ女性がBLに夢中になるのか分からない
- 好きな理由を説明できなくてもやもやする
という方のために、どうしてBLが女性に響くのか詳しくご説明していきます。
BLにハマってしまう心理を理解したい方は参考にしてみてくださいね。
女性は心の繋がりを求めている
愛するということは、おたがいに顔を見つめあうことではなくて、一緒に同じ方向を見ることだ
という言葉を聞いたことはありますか?
かの有名なサン=テグジュペリの言葉です。
実はこれが語られるのは、愛し合う男女についての文脈ではありません。
サン=テグジュペリが僚友と2人きりで遭難し、極限状態の砂漠の中で共に生還を目指した時に生まれた言葉なのです。
この「同じ方向を見る関係」は男性特有の関係で、最も深い心の繋がりの一つです。
女性の友情は同じ価値観を共有する関係ですし、女性と男性ではどうしても「お互いを見つめ合う関係」になってしまうからです。
例えば、友人であり、同時にライバルでもある関係は女性にはあり得ません。
尊敬、嫌悪、嫉妬、愛情様々な感情で繋がれるのは、2人が同じ方向を目指して歩いているからこそです。
この「同じ方向を見る関係」と、その関係に勝てない女性の姿を描いた作品があります。
『昭和元禄落語心中』には、境遇も性格もまるで違う、八雲と助六という2人の落語家が出てきます。
お互いが自分にないものを持っており、時に憧れを、時に劣等感を抱きながら落語の未来を作って行く2人の姿が描かれます。
そしてもう一人の重要な登場人物が、女性であるみよ吉。
八雲とみよ吉は恋愛関係にあるのですが、八雲とみよ吉の関係よりも八雲と助六の関係のほうが強いんですね。
なぜかというと
- 八雲とみよ吉は「向かい合う関係」
- 八雲と助六は「同じ方向を向く関係」
だからです。
落語という同じ道を歩いていく彼らは、それこそ正も負も含めたあらゆる感情でがんじがらめに繋がっています。
作中、みよ吉は「妬けちゃうわ」という言葉を口にするのですが、これは助六に嫉妬しているのではありません。
八雲と助六の2人の関係に嫉妬しているのです。
同じ方向を見る2人の恋愛が描かれる
しかし皮肉にも、女性こそ心で繋がりたい生き物です。
みよ吉のように、「お互いを見つめ合う関係」に甘んじながらも、好きな人と心で深く繋がりたいのはむしろ女性のほう。
そんな女性の願望を念頭に置いて、BLがどのようなジャンルであるかを考えます。
男性同士の恋愛を描くBLは、「同じ方向を見る」関係に、体の関係を含めた「お互いを見つめあう」関係が加えられたジャンルです。
BLを読んでいる時、多くの女性が受けに感情移入する傾向にあります。
※「攻め」「受け」は有り体に言えばそれぞれ「男役」「女役」のこと。
受けに感情移入してBLを読むと
同じ方向を見る関係で心で深く繋がって、そして壊れるほど愛されたい。
という女性の願望を丸ごと叶えることになります。
BLは女性の願望とわがままを奇跡的に両立させてくれる
女性はBLを読むことで、理想の関係を疑似体験することができます。
これが、女性がBLにときめいてしまう理由です。
まとめ
女性がBLにハマる心理として、
「同じ方向を見る深い心の繋がり」と体の関係を含めた「見つめ合う関係」が両立するBLが、体だけでなく心で深く繋がりたいと望む女性の願望にヒットするから
という理由をまとめました。
もちろんこれが正解という事はありません。他にも考察はたくさんされており、人の数だけハマる理由は違います。
議論が尽きないほど、BLが魅力的だという事だけが確かです。
途中で紹介した『落語心中』はBLではありませんが、作者の雲田はるこさんはもともとBL作家をされています。
関係性を書くのが上手いBL作家さんは、友人、恋人、親子、弟子の関係を描かせても絶品。
関係性に萌える女性はもちろんのこと、男性もこの作品はめちゃくちゃ面白いという人が多いです。
私は読み終わったロスに耐えかねて、週末のうちに寄席に落語を聞きに行き、その後も一週間はストーリーがフラッシュバックして仕事が手につかないほど骨抜きにされました(し ご と し ろ)。
「BLが好きな人は、こういう良いも悪いも含めた深い感情の繋がりに魅力を感じるんだな」という理解に繋がる入門書になるかもしれません。
そうでなくても、BLに興味がない男性や女性にも絶対面白い作品ですので、未読でしたらぜひ読んでみてくださいね。