【おすすめ本】今の20代に絶対読んで欲しい
近頃おもしろい本に出合うべく、読書会に参加し始めました。
私も自分が読んだ本を布教しようと、あれこれがんばってしゃべります。
毎度みなさんのおすすめを聞いて、読みたい本リストが増えていきます。めっちゃ楽しいです。
まわりに本好きがあまりおらず、読後の高揚を一人で味わってきました。
なので、読書会で同じ本について話せる幸せは何とも言い表せません。
先日は20代限定の読書会に参加させてもらいまして、その時のテーマが「20代に勧めたい本」でした。
今回は、そこで私がおすすめした本を紹介したいと思います。
何を持って行くかなあと1週間ほど悩み、選んだ本はこちら
『何者』朝井リョウ
私がおすすめしなくても、みんな知ってるよ!(直木賞受賞作で、映画にもなってるから)と思いましたが、
「20代に」というテーマでこれ以上相応しいものを思いつきません!
では行ってみましょう!
本書の対象から外れる方
今現在30代以上
あるいは10代の人
それぞれの世代により響く作品は他にあるはずなので、今回は回れ右
こんな人におすすめ
展開のおもしろさを求めている。
一気読み本を探している。
ずばり、平成元年から平成10年の間に生まれた、今20代の人。
なぜ「20代」のテーマに『何者』が相応しいのか。
それはターゲットがもうこの世代にクリーンヒットだからです!!
皆が面白いと思うように作られた物が、ぼんやりしてしまうのって分かりますよね。嫌いだという人もいないけど熱烈なファンもいないような。
子どもの頃からネットが身近にあり、スマートホンを片手に就活を経験した世代。
今30代以上の人からすればSNSにリアルな実感が湧きにくく、今10歳の子が20代になってこの作品を読んだとしてもきっと古いと思われるでしょう。
この時代の、だいたい平成元年から平成10年くらいに生まれた約何百万人かだけにターゲットを絞ってあるんですよ。
その切れ味たるや。ヒリヒリするほどです。
これをリアルな実感を持って味わえる…こんなラッキーはない!
朝井リョウさんと同世代に生まれたことを私は感謝してやみません。
朝井リョウの魅力【心理描写】
好きな作家は?と聞かれてまず初めに答えるのが朝井リョウさんです。
朝井さんは、普段気にも留めていないような感情を敏感に感じ取り、切り取るのが絶妙に上手いです。
特に人間が持つ黒い感情を描いた作品が私は好きで、『何者』はその代表といえると思います。
それってどんなの?
例えば…
旅行先で、夕日をバックにジャンプしている友人のツイート
いわゆる青春ジャンプというやつ。
例えばこれをスクロールしているときに感じるもやっとしたもの。
この「青春ジャンプ」という言葉の後に(笑)がついていませんか?
いつもはひっかかりを自覚するでもなく暮らしているわけですが、朝井さんはそのもやもやを文章という形にして読者に呈示するわけです。
この「普段気にも留めないようなもやっとしたもの」に形を与える力がもうすごいんです!
さらに、人間余裕があるとき寛大になれるものですが、追いつめられると悪い感情が表出しやすくなります。
就活なんて、精神的にめちゃめちゃ追い込まるイベントNO.1なわけです。
友達の内定、病みしかない自己分析、お祈りメールの恩着せがましさ…(自分のことを思い出して苦しくなってきた…)
そして、私たちの世代には自己顕示欲求を容易に満たしてくれるTwitter という道具がある。
混ぜるな危険!!
ですが、何も人間の汚い部分を突き付けて、これだから人間は…と人に失望させるような作品では決してないのです。
お腹が痛い時、原因が分からないと不安じゃないですか?
病院に行って病名を付けてもらったら、原因が突き止められたことによるある種の安心を感じませんか?
私は『何者』を読んでいて同じような体感をします。
自分の中の言葉にできないもやもや、どろどろした感情。それが朝井さんの文章によって形になって目に見えるものになります。
それは自分では気づきたくなかったような人間の暗い部分であり、激しい自己嫌悪に襲われます。うう。
しかし、自分の中の得体の知れない黒い何かの正体を文字という形で見るという体験は、痛くても人には必要なのではないでしょうか。
正体が分かる→自分の中の黒い存在を認めてやる。そしてそれと上手に付き合っていくことが大切なのです。
『何者』を今の20代に絶対読んで欲しい理由まとめ
嫉妬や、他人の不幸は蜜の味なんて感情は、どの世代にも共通することでしょう。
しかし、人間の黒さをさらしてしまうTwitterを切り口に、描かれるこの物語のヒリヒリ感!
これを味わえるのは今20代の人だけですよ。
裏アカの感じなんかがリアルに分かる世代が、この物語を味わわないなんてもったいない!
おまけ
朝井リョウさんですが、好きなので全部読んでます。
書かれる作風はいくつか種類があり、さわやかな青春もの、人間の黒い部分を書いたもの、読むと全身の力が抜ける爆笑エッセイ…
待って、ふり幅がすごいですね。
エッセイなんかは特に唯一無二です。別の機会にでもお勧めしたいです!
この記事が、あなたに合う本との出会いのお役に立てばうれしいです。