【おすすめ本】「ラブホの上野さんの恋愛相談」が面白い!恋愛に悩める全ての方へ
みなさんは普段誰に恋愛相談をしていますか。
友達でしょうか。それとも先輩?
あるいは相談はせずに、ネットで検索をかける方もおられるでしょう。
どれも間違ってはいませんが、それらの人達はみんな優しいので、得られる解答は恐らく「質問者が欲している答え」です。
自分が欲しい答えをもらって、安心したいだけならそれらで十分ですが、
本当に実のある恋愛相談がしたいなら、恋愛に一番詳しい人に聞くべきです。
それは誰か?
そんなの
ラブホ店員に決まってるでしょう!!!
そんなわけで今回は『ラブホの上野さんの恋愛相談』を紹介します。
タイトルだけ見てブラウザバックしようとした方はちょっと待て下さい!
そんな方のために書いています。
この本、タイトルだけでアレルギー反応を起こしてしまうには、あまりにもったい本なのです。
【魅力①】問題の本質を見抜く
まず、恋愛に関する悩みは「恋愛の場面だけの問題だ」と思ってはいないでしょうか。
実は私もそう思っていました。
例えば「出会いがない」という相談をする人には
「マッチングアプリに登録したらいいよ」
「街コンに行ってみたら?」
などのアドバイスがされることでしょう。
これらのアドバイスは問題が「恋愛の場面だけ」だと想定されたものです。
しかしこの場合、本当に問題なのは
「出会いがない」と言うだけで何もしない本人の無精な性格の方です。
この人は恐らく何に対しても無精です。
「独り暮らし始めなきゃなあ」と思っても物件を見に行くところまでしないでしょうし、
「料理できるようになりたいなあ」と思いながら、レシピを眺めるに終わるでしょう。
こんな人間に
「いい不動産屋があるよ」とか
「こんなレシピがあるよ」
と言っても
絶対に行きませんし作りません。
つまり先程のアドバイスも全く意味がありません。
恋愛において相談者が悩んでいることは、多くはその人が根本で持っている問題のしっぽが恋愛の分野で出ているだけなのです。
上野さんの解答は、上辺だけを見て呈示されるそれらしい答えとは違います。
しっぽをひっぱり原因の本体を捕まえた上で、「それに対してどうすべきなのか」を説くアドバイスばかりです。
本書が、第一印象よりもずっと深い内容であることが伝わりましたでしょうか。
ちなみに「出会いがない」と嘆いているさきほどのモデルは誰かって
私です。
【魅力②】上野さんの博学さ
この記事を書くにあたって本書を読み返していたんですが、「どこかで聞いたんだよな」と思っていた記憶の多くがこの本に書いてあることだったと気づき、改めて驚きました。
例えば
「大学ででも聞いたんだっけ?」と勝手に思ってしまっていたほど、一見恋愛とは何の関係もありません。
しかし、これらの話から始まる解答が、
- 忙しい彼氏に会えなくて寂しい
- 付き合っている人がワガママで困っている
- 彼女にダイエットをして欲しい
- 留学する彼氏と別れた方がいいか
だったりするので、読んでいてめちゃめちゃ面白いです。
一見無関係に見える前置きから質問者への解答へ繋げていく過程も鮮やか。
それらはつまり問題の本質を分かりやすく説明するための例え話になっており、文章の巧みさにも舌を巻きます。
恋愛の悩み相談を脇に置いたとしても、本書を読むだけでかなりの雑学が身につきますよ。
【魅力③】オチがいい
本質を見抜く鋭さと、博学さを持って質問に答えていく上野さん。
しかし、なんだかんだで最終的には
「悩みを解決して最良のパートナーを見つけ、ぜひラブホテルをご利用下さい。」
とラブホへいざなうところが最高にロックです。
問題解決型の本はそれがどれだけ良書でも、結局の効果は受け取り手側に依存するものです。
親のアドバイスなんて聞けないけれど、有名な偉人の格言は素直に実行しようと思える、なんてことは誰にでもあるでしょう。
「何を言われるか」 と同じくらい、あるいはそれ以上に「誰に言われるか」が重要と言えます。
恋愛の場合は、恋愛上級者が語り手になる事が多いと思うのですが、ここが恋愛相談の難しいところ。
だって、「恋愛上級者が教える恋愛テクニック」なんてなんだか鼻につきませんか。私ならケッと笑って本を閉じてしまいます(ひがみ)。
これだけ深い解答の数々が、
「あくまで上野さんのラブホスタッフ営業の一環である」というおかしみ。
そのバランスがとてもいいのです。
面白がってるうちに、いつの間にか正座してうんうん聞いてしまう。
そんな素敵な本が、『ラブホの上野さんの恋愛相談』です。
まとめ
友達への相談やネットでの検索が、病院でいう「熱があってしんどいね。おでこ冷やそうね。」であるとするなら、本書を読むことは「この熱の原因はどこどこの臓器が炎症を起こしているから。では治療にかかりましょう」ぐらいの違いがあります。
もちろん両方必要です。
失恋で傷ついたときは、前者のような言葉が何よりの癒しになり、励ましになります。
しかし本当に病気を治したいなら、病院へ行って病原を突き止める必要があるでしょう。
あるいはそうでなくても、面白いコラムを読みたい!から入るのでももちろんOKな本です。
購入時の店員さんの目線が若干ハードルですが、ネットで頼めば万事解決ですね!
いい時代。
まあ、あとはそうですね。
街コンでも行くかな…………………
「男の浮気は本能だからしょうがないよ~」を黙らせようと思う。
先日部長が離婚しました。
二回目。
飲みの席で問い詰められた部長は、離婚に至る経緯を説明しながら苦し紛れに「浮気は男の本能だからしょうがない!」
この言葉に他の男性陣がうんうん頷いていて釈然としなかったので、この場を借りて彼らを黙らせたいと思います。
それではどうぞ!
論点の整理①持って生まれた特性(本能)
もともと男性の方が性欲が強いのは何となく分かります。そういうお店も女性用より圧倒的に多く、一つの産業になっていますので、女性の想像が及ばない衝動もあるのでしょう。
そうなると、人は持って生まれた自分の本能にどこまで責任を持つべきなのかという話になってきます。
どこからが「これはしょうがないものだから理解して許してね」の対象になるのでしょうか?
論点の整理②育った環境
また、人間の人格や取る行動を決定しているのは、本能だけではありません。
どういう人間であるかは、
持って生まれた特性が50%
育った環境が50%
と言われています。
例えばニュースを見ていて
といった話を耳にしますよね。
善良な人でも環境によっては犯罪を犯します。
浮気性な人に言わせれば、「君が相手をしてくれなかったから」でしょうか?
先程の話とまとめると以下のようになります。
論点:持って生まれた特性や育った環境(今現在を含む)は、本人が犯した罪の免罪符になるか?
しょうがない気がしてきた
実はこの問題は浮気論争の前に私が悩んでいたことの一つでした。
<特性>もし強い本能を生まれていたら。
<環境>今の状況では強盗をしようなんて思わないけれど、ニュースの中の人と同じ環境になれば、私も誰かを傷つけないと言い切れるか。
置かれた状況次第で、自分もいつだって加害者側になり得ます。
本能や環境に責任があるのならば、本人達はむしろ被害者とも言える気がしてきました。
しかし同じ特性、環境に置かれた人でも、本能や環境に左右されず、正しい行動を取る人もいます。そんな人と取らない人の違いは何なんでしょう。
一線を越えないために必要な「何か」が分かれば、彼らを黙らせられるのに。
そして、自分も本能や環境に影響されず、誰かを傷つけずない行動を選択する事ができるのに。
人間を人間たらしめるもの
人間の心がどういう状況で一線を踏み越えてしまうのか、心理学の本を読んだりしてみましたが、なかなかな納得のいく答えを出せずにいました。
しかし、 たまたまSFが読みたくて手に取った小説の中に、その明確な答えがあったのです。
以下抜粋
「でも、ぼくのなかに女性を強姦してしまう遺伝子があったとして、きみをめちゃくちゃにしてしまったら、それは遺伝子のせいじゃないのかい。」
「ぼくが子供のころ虐待を受けて、その結果、愛情や利他行為というものの価値をじゅうぶん認識できなくなって、シリアル・キラーになってしまった場合、それは育った環境のせいじゃないのかい。」
「それは違うわ。人は、選択することができるもの。過去とか、遺伝子とか、どんな先行条件があったとしても。」
「人が自由だというのは、みずから進んで自由を捨てることができるからなの。自分のために、誰かのために、してはいけないこと、しなければならないことを選べるからなのよ。」
虐殺器官(伊藤計画)
人は持って生まれる特性や育つ環境を選べません。だから、そこには本人の責任はありません。
ですが、それらを持った上で何を選択し、どのように行動するかは本人の責任です。
どんな特性があろうと、どんな環境にいようと、それらに影響されようと、最後に人間の行動を決定するのは本人の意思なのです。
理不尽ですが、同時に希望でもあると思います。
「なんだよ、結局意思かよ」と思われるかも知れませんが、それこそがその人をその人たらしめる決定的な「何か」です。
それはハリーポッターの組み分け帽子と同じ。どんな素質があろうと、どうありたいと思う本人の気持ちで、人は形作られているのです。
つまり何が言いたいのかというと、
最終、浮気を行動選択したのは、本能でも何でもなく部長の意思です!
よって有罪!!
最後に『シャンタラム』の主人公と友人の会話の中に、カエルとサソリの話が出て来るので紹介します。
「本能だから~」の理論が、どれだけ意味不明なものであるかお分かりいただけるかと思います。
カエルは刺さない約束をした上で、サソリを背中に乗せて一緒に川を渡ることにします。
しかし、川の中腹まで来たとき、サソリは毒を持つその尻尾でカエルを刺しました。
カエルは溺れながら、なぜ刺したのかと尋ねます。
「僕を刺したら君も溺れてしまうのに!」
サソリも溺れながら、こう答えるのです。
「俺はサソリだぜ。刺すのが俺の性じゃないか」
シャンタラム(グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ)
【まとめ】浮気ダメ、絶対
本人の名誉のために書いていきますが、部長は大変な人格者です。
6チーム何十人の人員を率いており、本人も仕事ができて、人望もあります。
目の行き届く人で、新入社員の私のことも気にかけて下さり、今まで何度も助けてもらいました。
まあ、ただ結婚不適合者なんですね。残念なことに。
「本能を意思の力で抑える」ところまで約束するのが結婚です。
本能だから~と開き直るなど言語道断です。
それでも浮気をやめられない人は、イスラム教に入信してインドネシアで暮らしてください!!!!!
以上!!
どうして結婚しないの?と聞かれる本当の理由
親や職場の人間に言われる、
「どうして結婚しないのか」
「どうして子どもを産まないのか」
うざいですね。いやいやうざすぎる。
なぜ自分の人生を、こんなにも他人にとやかく言われるのでしょう。
それは、みんなが「普通」であることが社会の維持に不可欠という事が深く関係しています。
「どうして結婚しないの?」に類する言葉はみんな、普通側の人間からの「あなたは今、異常ですよ」という注意勧告なのです。そこには軌道修正を促す意味が隠れています。
「あなたは果たすべき役割を果たせていません。それでは幸せになれませんよ」と言われているのです。
余計なお世話の叩き売りか何かか?
どうしてこんなことが起こるのかご説明していきます。
「あんなに結婚結婚言われるのは、こういうことだったんだな。」
という理解に繋がれば幸いです。
そして後半は、
「結婚し、子どもを持つこと」ひいては「周りからの承認」だけが人の幸せか?
自分の幸せを貫くことが、幸せへの1番の近道ではないか?
ということについても考えてみます。
社会はどのように維持されているか
マリッジハラスメントとして問題視されるほどよく言われている言葉なら、そこには何か理由があると考えられます。その理由を探る前に、まず社会がどのようにできているかを考えてみましょう。
社会の仕組みを理解する上で、分かりやすい例がコンビニです。
コンビニでは日々、人が商品を買い、新しいものが入荷されることをくり返します。
それは店員も一緒です。店員だった大学生が4年生になってバイトを辞めても、また新しい大学1年生が来て働く、をくり返しますね。
しかし、商品や店員が変わってもコンビニは一定です。物自体は入れ替わっていても毎日棚には同じ商品が並び、人が入れ替わっても店員はずっと存在し続けます。
これは会社も同じです。誰かが退職しても、他の人がそのポジションに就く。誰かが辞めても新しい社員が入ってきます。
これって世界そのものなんですよね。
人間も、生まれては死ぬので個体としては入れ替わっています。ですが20代、50代のような「世代」はずっと存在し続けます。そして常に人間がいる状態、つまり社会が保たれています。
全のために果たすべき役割、それこそが「普通」
「全は一、一は全」
という言葉をご存知でしょうか?
簡単に説明すると
「全は一なくして存在し得ない。自分が生きているという事は、世界を支えていることと同義である」みたいな意味になります。
人間は、この「全体の一部として自分が役目を果たせている」ことに喜びを見い出す生き物です。
しかし、この全を形成する一である為には「普通」であることが必要になります。
20歳くらいまでは学校に行き
20~22歳くらいで就職。
25~35歳で結婚し、子供を産み
60歳まで働き…
人間が一定して存在し、社会を作るために、だいたい何歳でどのライフステージにいるべきかが既に決められています。それこそが「普通」です。
「普通」であることを幸せと感じる。それは人類を一定に保つために機能的に働いているのです。
余計なお世話の正体
ここで冒頭の「なぜ余計なお世話が起こるのか」に話が繋がります。
「どうして結婚しないの?」は誰から言われるのでしょうか。
恐らく、
①親を含めた、既に結婚している人
②子ども~25歳くらいの若い人
の2つのグループからでしょう。
①は結婚適齢期に結婚している=「普通」
②の世代もまだ大半は結婚しておらず、結婚していないことが「普通」ですね。
そんな「普通」側の人達が、結婚適齢期なのにまだ求められているライフステージに進んでいない人を「異常」と判断して「どうして結婚しないのか?」と言っているのです。
コンビニで不良品がはじかれるように、
適齢期なのに結婚していない
女なのに子どもを産まない
彼、彼女らは不良品として糾弾されます。
全の為の一になれていないぞ、と修正を促されます。
あれらの言葉は社会を維持するため、一としての役割を果たすように促す「警鐘」という機能を担っていると言えます。
「どうして?」と言われて苦しいのは、言外に「あなたは異常だ」と言われているのを感じるからなのです。
「社会の一部として役に立つこと」それだけが人間の幸せか?
しかし、本当にそれだけが人の幸せでしょうか?
『大奥』(よしながふみ)6巻の中に、こんなセリフがあります。世継ぎを産む役目に縛り付けられた将軍に向けられた言葉です。
…生きるという事は 男と女ということは!
ただ女の腹種を付け、子孫を残し、家の血を繋いでいく事ではございますまい!
彼女は周囲の期待通りに子どもを産めず、故に苦し抜き、政治も荒れて人から憎まれます。
そして晩年こう呟く。
「私は結局、この世で何ひとつ後の世に繋ぐことができなかった。人に望まれたことは何一つできなかった」
ずっと役割に縛られ、周囲の望みを叶える為だけに生きてきた彼女を、"生きるという事は"の言葉が解き放つのです。
それから自分の幸せを見つめ、ようやく自分の人生を歩き始めます。
「普通」でなければ、
周りに認められなければ、
役に立たなければ、
人は幸せになれないのでしょうか?
そうではありません。
確かに、親の喜んでいる顔を見ればあなたも幸せを感じるかもしれません。
しかし、望まれている幸せと自分の幸せが一致しないのなら、自分の幸せを優先すべきです。
「普通」でいることは確かに幸せですが、その普通になれないのなら、あなただけの幸せを追いかけるべきです。
たかが、人間を維持するための入れ替わりのひとりなのです。もっと独りよがりな幸せが許されたっていいはずです。
まとめ
お気づきの方もおられるかも知れませんが、村田さやかの『コンビニ人間』を読んでいて気づいた事や考えた事をまとめました。
『コンビニ人間』も、普通になろうともがく「異常者」の物語です。
主人公ほどではないでしょうが、誰だってみんな普通になり切れない部分を持ちながら、普通のふりをして生きていると思います。
どうかあなたが「普通」を振りかざす他人に、自分の人生に土足で踏み込まれても、自分を守れますように。
傷つかないで、他人の為に生きるより、自分の為に生きられますように。
疲れた心が「超絶技巧展」のくだらなさに癒されたので、感想とレポを書きます。
どうもこんにちは!もぐらです。
あべのハルカスで開催されている「驚異の超絶技巧展!明治工芸から現代アートへ」へ行ってきたので感想を書きます!
美術館レポかよって思われた方はちょっと待って下さい!
私は基本的に芸術というものが分からないタイプです。
抽象画なんかを見る時は、説明文を読んで考察を深める友達の横で神妙な顔をしながら、頭の中ではひとりIPPONグランプリを開催しています。
そんな私が、あべのハルカスで開催されている「超絶技巧展」にも言って来きました。
これがね、最高でした。
主にくだらなさにおいて印象的だった作品を、具体的に紹介していきたいと思います。
「何の役にも立たないものを、常人では信じられないような技術と時間と忍耐力をつぎ込んで作っている人達がいるんだ」
という事になぜかめちゃめちゃ励まされたので、疲れている人に読んでほしいです!
ではどうぞ!
才能の使い方が間違ってる!
会場に入って一番初めに現れるのは一木造の魚の食べ残し。
白い皿の上にのった魚が透明なケースに収められています。
驚くなかれ、なんとその皿も横たえられた魚も、もともと一つの木から彫り出された作品なのです。
折れそうに細い魚の骨の一本一本も。
ケースを開ければ香ばしい匂いがしそうな頭も。
しかしなぜに魚の食べ残し!一木造で作るものなんでしょうか!
これが初っ端ですよ。俄然先が楽しみ。
芝刈りのおじさん(象牙)
次に笑ったのは象牙の作品です。
象牙って絶対高いじゃないですか。
今は禁止されてめったなことじゃ手に入らないと思いますし、作られた当時だって安くないはずです。
それでなんで芝を担ぐおじさんを彫った。
しかもなかなか大きい作品なのです。
時代劇を見ていると、両側に物を入れた籠を棒で担いで売り歩く人いるでしょう。あれに芝を入れて担いでる感じなんです。
ちょっと休憩にキセルをふかしてる、味があるおじさんなんだけど、全然いらない!!
芝とか一本一本丁寧に彫り込んであって、見ていると思わず息がもれる完成度です。
なんだけど芝刈りおじさんの像いらない~~~
こんなに大きい象牙でなぜおじさん彫ろうと思ったんだ。謎だ。
刺繍のおじさん
なんなのか。おじさんが好きなのか。
遠くから見たら絵なんです。でも近づいてみると、絹糸がきらきらしていて刺繍だ!!ってなります。
刺繍の作品は3点だけで、右から
滝
ライオン
おじさん
なんですが、だからなんでおじさんなんだろう。もうおじさんにしか目が行きませんよね。
保冷材
さらに、凹んだペットボトルを再現したガラスの作品。
説明書きを読むと、3部分に分けて試行錯誤を繰り返して作られたと書かれています。
確かにガラスの透明感がペットボトルの中の水を美しく再現している素晴らしいんですが、なんで凹んだペットボトルなんですか。
あとタイトルを忘れてしまったんですが、横に保冷材にしか見えない作品がありました。ほ、保冷材…(崩れ落ちる音
どうやって運んできたの?
一木造の魚の食べ残しを越える作品がラストらへんにありました。
有刺鉄線に絡みつく弦植物。塀を乗り越えられないように施されているとげとげした鉄線に、アサガオのような植物が巻き付いている作品です。
これが一木造。しかも割と長い。
まてまてまて、これ彫ってる途中にポキッて絶対100回はやってますよ。101本目かそれ以上の犠牲の上の作品ですよ絶対。
こんなものどうやってこの会場に運んで来たんでしょうか。作家自ら運んで頂かないとこんな壊れ物誰も怖くって運べません。
うっかり転んで折ろうものなら死刑になるんじゃないでしょうか?
【超絶技巧展の魅力的作品】まとめ
才能の無駄遣いなものが日頃からすごく好きです。
「電卓でLemon弾いてみた」とか「ウワー!って鳴くチキンのおもちゃでカノン」とか
電卓3台で米津玄師のLemonを弾いてみた pic.twitter.com/h1OdEB7DPS
— あたりめ (@atarime__400) 2018年10月8日
Pachelbel's Canon in C(hicken) pic.twitter.com/YlPczVYLQQ
— TwoSet Violin (@TwoSetViolin) 2018年7月15日
これピアノでやるよりよっぽど難しいだろうに才能の向ける方向ミス!!!
すごい!!すごいけど膝から崩れそうなほどくだらね~~!!!ってなる。楽しいですね。
普段は役に立つものを作らないと評価されないですよね。役に立ちたくて頑張ってるところあるじゃないですか、ないですか。私にはあります。
でも超絶技巧展に行ったら、
「世の中にはこんなにどうでもいいことに全力を注いでる人がいるんだ…!」
と思って世界が愛おしくなりましたね。
めちゃくちゃ励まされましたよね。
「どうでもいい」は語弊があります。意味があるものだけの世界じゃ味気ない。
こういう、一見何の役にも立ちそうにないものに人は救われるってことなんですねきっと。
もちろん、象牙で花を彫っていたり、美しい金工もあります。たんぽぽの綿毛とかかわいくて美しくてすごく好きでした。
美術館初心者におすすめです。デートとかここに連れて行ってくれて、同じところで笑えたら好きになっちゃいますね。
あべのハルカスでの展示は4/14(日)までらしいです。
入場料など詳しいことはこちらへどうぞ!
驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ | あべのハルカス美術館
くだらなく素晴らしい作品を見て元気出して下さいね、みなさん。
それでは
【おすすめ本】今の20代に絶対読んで欲しい
近頃おもしろい本に出合うべく、読書会に参加し始めました。
私も自分が読んだ本を布教しようと、あれこれがんばってしゃべります。
毎度みなさんのおすすめを聞いて、読みたい本リストが増えていきます。めっちゃ楽しいです。
まわりに本好きがあまりおらず、読後の高揚を一人で味わってきました。
なので、読書会で同じ本について話せる幸せは何とも言い表せません。
先日は20代限定の読書会に参加させてもらいまして、その時のテーマが「20代に勧めたい本」でした。
今回は、そこで私がおすすめした本を紹介したいと思います。
何を持って行くかなあと1週間ほど悩み、選んだ本はこちら
『何者』朝井リョウ
私がおすすめしなくても、みんな知ってるよ!(直木賞受賞作で、映画にもなってるから)と思いましたが、
「20代に」というテーマでこれ以上相応しいものを思いつきません!
では行ってみましょう!
本書の対象から外れる方
今現在30代以上
あるいは10代の人
それぞれの世代により響く作品は他にあるはずなので、今回は回れ右
こんな人におすすめ
展開のおもしろさを求めている。
一気読み本を探している。
ずばり、平成元年から平成10年の間に生まれた、今20代の人。
なぜ「20代」のテーマに『何者』が相応しいのか。
それはターゲットがもうこの世代にクリーンヒットだからです!!
皆が面白いと思うように作られた物が、ぼんやりしてしまうのって分かりますよね。嫌いだという人もいないけど熱烈なファンもいないような。
子どもの頃からネットが身近にあり、スマートホンを片手に就活を経験した世代。
今30代以上の人からすればSNSにリアルな実感が湧きにくく、今10歳の子が20代になってこの作品を読んだとしてもきっと古いと思われるでしょう。
この時代の、だいたい平成元年から平成10年くらいに生まれた約何百万人かだけにターゲットを絞ってあるんですよ。
その切れ味たるや。ヒリヒリするほどです。
これをリアルな実感を持って味わえる…こんなラッキーはない!
朝井リョウさんと同世代に生まれたことを私は感謝してやみません。
朝井リョウの魅力【心理描写】
好きな作家は?と聞かれてまず初めに答えるのが朝井リョウさんです。
朝井さんは、普段気にも留めていないような感情を敏感に感じ取り、切り取るのが絶妙に上手いです。
特に人間が持つ黒い感情を描いた作品が私は好きで、『何者』はその代表といえると思います。
それってどんなの?
例えば…
旅行先で、夕日をバックにジャンプしている友人のツイート
いわゆる青春ジャンプというやつ。
例えばこれをスクロールしているときに感じるもやっとしたもの。
この「青春ジャンプ」という言葉の後に(笑)がついていませんか?
いつもはひっかかりを自覚するでもなく暮らしているわけですが、朝井さんはそのもやもやを文章という形にして読者に呈示するわけです。
この「普段気にも留めないようなもやっとしたもの」に形を与える力がもうすごいんです!
さらに、人間余裕があるとき寛大になれるものですが、追いつめられると悪い感情が表出しやすくなります。
就活なんて、精神的にめちゃめちゃ追い込まるイベントNO.1なわけです。
友達の内定、病みしかない自己分析、お祈りメールの恩着せがましさ…(自分のことを思い出して苦しくなってきた…)
そして、私たちの世代には自己顕示欲求を容易に満たしてくれるTwitter という道具がある。
混ぜるな危険!!
ですが、何も人間の汚い部分を突き付けて、これだから人間は…と人に失望させるような作品では決してないのです。
お腹が痛い時、原因が分からないと不安じゃないですか?
病院に行って病名を付けてもらったら、原因が突き止められたことによるある種の安心を感じませんか?
私は『何者』を読んでいて同じような体感をします。
自分の中の言葉にできないもやもや、どろどろした感情。それが朝井さんの文章によって形になって目に見えるものになります。
それは自分では気づきたくなかったような人間の暗い部分であり、激しい自己嫌悪に襲われます。うう。
しかし、自分の中の得体の知れない黒い何かの正体を文字という形で見るという体験は、痛くても人には必要なのではないでしょうか。
正体が分かる→自分の中の黒い存在を認めてやる。そしてそれと上手に付き合っていくことが大切なのです。
『何者』を今の20代に絶対読んで欲しい理由まとめ
嫉妬や、他人の不幸は蜜の味なんて感情は、どの世代にも共通することでしょう。
しかし、人間の黒さをさらしてしまうTwitterを切り口に、描かれるこの物語のヒリヒリ感!
これを味わえるのは今20代の人だけですよ。
裏アカの感じなんかがリアルに分かる世代が、この物語を味わわないなんてもったいない!
おまけ
朝井リョウさんですが、好きなので全部読んでます。
書かれる作風はいくつか種類があり、さわやかな青春もの、人間の黒い部分を書いたもの、読むと全身の力が抜ける爆笑エッセイ…
待って、ふり幅がすごいですね。
エッセイなんかは特に唯一無二です。別の機会にでもお勧めしたいです!
この記事が、あなたに合う本との出会いのお役に立てばうれしいです。
『きのう何食べた?』の面白さ、その魅力を解説
4月から『きのう何食べた?』のドラマが始まりましたね。
人に勧めたくなるほど面白いドラマの一つですが、同時にとても勧めにくい作品でもあります。
漫画から好き、もしくはたまたま見始めてハマったはいいけれど、
「劇的な展開がないから上手く面白さを伝えられない!」と悩んでいませんか?
日常漫画って魅力を伝えるのが本当に難しいですよね。
また、BLっぽいから人に勧めにくい…と二の足を踏んでおられる方もいるのではないでしょうか。
そこで、「きのう何食べた?を人に勧めて一緒に語れる人を作りたい!でも上手く伝えられなくて困ってる」という方のために、この作品の魅力を4点に絞ってご説明します。
人に勧めようか迷っているという人も、一度目を通してみて下さると嬉しいです。
1 心地よい共感
シロさんはゲイで、ケンジと一緒に暮らしている事も、両親にはカミングアウト済みです。
でもこの両親、その事実を理解していそうでしていません。
口では理解を示していて、実は本人もそう思ってます。
しかし、心の奥の方では息子がゲイであることを全然受け入れられていないんです。
そしてシロさんもそんな両親に対して、あきらめと、「それでもいつかは分かってくれるのでは」という期待を持っています。
でもこういうことは別にゲイに限ったことではありません。
違う人間だから分かり合えないことは当然です。
しかし親は分かってくれると無意識に期待している分、同じ言葉でも他の人に言われるより傷ついたりしますよね。
そんな人間関係が、可笑しくもリアルに描かれていて、全然違う状況のはずなのに共感があります。
でも全く同じ状況なわけではないので、アレルギー反応もない、心地よい「わかる~」って感じなのです。
この距離感は得難いです。
2 豊かな暮らし
「きのう何食べた?」のタイトル通り、料理のシーンがたくさん出てきます。
・友達の家に行ったり
・ご近所の台所を借りたり
・たまに外食したりもします。
でも基本的にはシロさんが料理をしてケンジと一緒に食べる場面が中心。
そんなシロさんの楽しみは「作り置きの鶏むね肉を使い切ること」。
安くなっている食材をハントして、冷蔵庫の残り物を思い出しながら献立を作る。
それをシロさんはとても楽しんでるんです。
例えば服をコーディネートするのも同じでしょうか。
生活を丁寧にできる人って、豊かだなあと思います。
お金をたくさん稼いで一流のレストランで外食をして、毎年ハワイに行く人は誰の目にも豊かと映るでしょう。
でもシロさん達はそんな人たちよりも、小さな幸せをきっとたくさん見つけています。
小さな幸せを見つけて楽しめる心があることを、豊かだなあと思うのです。
私は、料理も家事も服選びさえ煩わしいタイプなので、
「こういうものに私はなりたい」と宮沢賢治を召喚させながら読んでますがね。
3 なるようになる現実を毎日堅実に生きる
シロさんのご近所さんで、子供はいらないんだよねと言っていた夫婦がいます。
しかし予定外にも子どもができてしまいます。
産むと決めた娘に、母親が
「どうして産むことにしたのか」
そう尋ねた時の答えがとっても良かったんです。
シロさんもケンジもそうですが、彼らを囲む周りの人も、なるようになる現実をそれでもしっかり生きています。
自分の思う通りに行かない
描いていた未来とは違う道を選ぶことになった。
そんな等身大の現実を前に、それでも毎日働いて、ご飯を作り、食べて生きている。
そんな人たちの言葉だからじんわり響きます。
4 これが愛
一緒に暮らしているゲイの2人の暮らしを見ていると、男と女じゃないからこそ「これが愛なのかな」と言うものが見えてきます。
自分の趣味でなくても相手に合わせてみたり、心のままを言うのではなく相手の望む言葉を先回りしたり。
相手にハッピーでいて欲しい気持ちが煩わしさよりいつもちょっと上回っている2人の暮らしが素敵です。
愛は目に見えないと言われますが、文章と絵で可視化された愛がここにあります。
「自分の心に正直に」なんて自分が気持ちいいだけですからね。
『きのう何食べた?』がおもしろい理由まとめ
本当に事件らしい事件が起こらなくて、あえて挙げるなら
・いつも行ってたスーパーが潰れるとか
・スイカを丸々一個買って、半分こしたことをきっかけに近所の奥さんと仲良くなるとか(そこから不倫とかは始まらない。シロさんゲイだから。)
原作者のよしながふみさんは、きっととても目がいいんだと思います。
もちろんマサイ族的視力という意味ではなく、小さな幸せを感じる心を持っているという意味に近い方。
何気ない日常の中に、私たちが目もくれない小さなドラマと愛と楽しさがあることにちゃんと気づいて絵にして下さる。
それを見て、日常がいかにドラマチックであるかに気づかされるから、『きのう何食べた?』はこんなにも面白いのではないでしょうか。
私なりにこのドラマ、もとい漫画の面白さを分析してみましたが、本当にしみじみと面白いので余計な考えは不要です。
そしてこれを読むと料理したくてうずうずします。
得意料理は目玉焼きと卵焼きとゆで卵な私ですら気づいたらフライパンをふるっていましたからね。
この記事が、誰かに何食べをお勧めするきっかけになればとても嬉しいです。
【おすすめ本】徹夜で読む恋愛小説
女の子には恋愛小説が猛烈に読みたくなる時があります。
今回はその欲求を満たすに最適な本を紹介します。
恋愛小説で有川浩の右に出るものはない!と思うくらい有川さんの本は魅力的です。
さらに物語に引きずり込む引力がすごい。1ページ読んだらもうアナウンスも聞こえないので、電車の乗り過ごしは有川さんが断トツでトップです。
本書のヒット対象から外れる方
男性
教養・勉強としての読書を求めている人
こんな人におすすめ
10代〜20代の女性
最高の恋愛小説を読みたい
夢中になれる、一気読み本を探している。
年の差ものが好き
普段あまり本を読まない人にもおすすめ!
似た系統の本・物語
『植物図鑑』有川浩
舞台は塩害という病気が蔓延し、荒廃した日本。
原因不明の病で、ある日突然腕が塩になって落ちてしまう。町にはかつて人であった塩の塊が散乱しています。そんな状況では法も秩序もあってないようなもの。
人々は次に死ぬのは自分の大切な人なのではないかとおびえながら暮らしています。
そんな崩壊寸前の東京での、本来なら出会うはずのなかった自衛官と少女の物語です。
奇病による世界の崩壊でなくとも、親の反対から戦争まで恋愛物にシリアスなシーンはつきものです。
よくあるのはヒロインをかばって死ぬパターン。胸にすがって泣くヒロインの頬に手を伸ばして、
「お前が無事で、よかった」
と言ってこと切れる。
こんなもの全然だめです。
ヒロインからしたら、「あなたのいない世界なんて何の意味もない」わけですから。
この手の話を書くのはおそらく男性の作者です(偏見
女性はそんな自己犠牲的なものは求めていません。
お前を守って俺も助かるくらいの気概を見せる物語を読みたいんです!
しかし『塩の街』はそれを超えてきます。
「お前を守ろうと思ったら結果世界を救っていた」レベルの物語なんです。
「世界なんて救わないで!秋庭さんが無事でいて!もう旧い世界の方がよかったなんて言わないから!」
「分かれよ!先に死なれちゃ俺がたまらねェんだよ!!」
手を振り払って自衛官は飛び立ちます。少女が生きる未来を救うために。世界はたった一つの恋のついでに救われるのです。
これを読んだ日のことは今でも覚えています。夜になっても止めることができなくて、読み終えたのは深夜になりました。布団に入っても興奮してしまって眠れず。頭の中で物語を1からなぞって、物語に浸る幸福に震えました。
有川浩さんは作者読みしている作家のひとりです。
この『塩の街』がデビュー作。
書かれる系統としては
ミリタリ系
・空の中
・海の底
・図書館戦争シリーズ
・クジラの彼
・ラブコメ今昔
恋愛小説
・塩の街
・植物図鑑
・クジラの彼(重複)
・ラブコメ今昔(重複)
・図書館戦争シリーズ(重複)
・ストーリーセラー
・アンマーとぼくら(恋愛の中でも、愛の方に振り切った物語)
青春物
・キケン
・三匹のおっさん
社会的テーマを織り込んだもの
・明日の子供たち
・フリーター家を買う。
・レインツリーの国(重複)
ほっこり
・阪急電車
・コロボックル絵物語
映画化・ドラマ化と引っ張りだこで、もはやメディアされていない作品を挙げる方が早いのでは?となる程。
それだけ人の心を引き付けて離さない物語を書かれる方です。
他にもたくさん紹介したい本がありますが、ひとまず百聞は一見に如かず。
『塩の街』で胸がいっぱいになる体験をして下さればこんなに嬉しいことはないです。